コラム


by katorishu
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人心が縮こまっているようだ

 10月27日(月)
■株価がバブル崩壊後の底値をわって下落した。本日も新聞のトップ記事である。不動産業の零細な下請けは数百万の代金が払われないと、倒産するところもある。資産もなく、銀行からは門前払い。「倒産しかない。零細には数百万が響くんです」という業者へのインタビューがテレビで流れていた。彼等に救いにてをさしのべるのが、政治の役割のひとつだと思うのだが。高い技術をもった中小零細が、銀行からの資金を絶たれて悲鳴をあげている。1億資金のある「投資家」が「半分になってしまった」と嘆いていたが、会社の倒産は質が違う。死んだら、再生はむずかしいのである。

■本日、外出をしないつもりであったが、落ち着かないので品川シーサイドのビル内にあるコーヒー店に足を運んだ。客がすくない。楽天の本社などが移ってきた今年春から夏ごろまでは賑わっていたのだが。界隈では比較的高い値段の喫茶店なので、敬遠するのか。たまたまだったのか。帰りがけに見た韓国料理屋も客はゼロ。午後8時だというのに。開店したばかりの蕎麦屋も閉店した。

■マスコミ報道の影響もあるのか、全体に多くの人の気持ちが縮こまっているという気がする。以前から満州事変の前の昭和初年の社会の空気と似ていると感じていたが、この傾向に拍車がかかるかもしれない。大正デモクラシーの花が開いて、特に都会ではバブリーな空気が支配的であったのだが、1929年の世界大恐慌が一気に引き飛ばしてしまった。あとにきたのが「エログロナンセンス」であり、右翼や軍部の台頭である。

■当時とはちがって言論の自由が、不自由があるにしても、かなりマシに機能しているので、戦前の二の舞を演じることはないと思うが、テレビのゴールデンアワーで放送される多くの番組は十分に「エログロナンセンス」である。
 昼間、某局で番組制作局長もつとめ、一緒にドラマの仕事をしたIさんから電話。最近のテレビ番組などについて話し合った。制作の現場で企画の取捨選択などを行うプロデューサーなどに「ポリシー」がなく、「物づくり」の面白さ楽しさも知らない、ということで意見が一致した。「現場で汗水たらして鍛えられた」経験のないことが、最大の理由でしょうね、とIさん。「数字」だけで物事の価値を判断する風潮が、今度の「金融危機」で弱くなるといいのだが。
by katorishu | 2008-10-27 21:53 | 社会問題