コラム


by katorishu
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グーグルのストリートビューなる装置の面妖さ

 10月28日(火)
■グーグルのストリートビューなる面妖なサービスがはじまったらしい。住所がわかれば、世界中どこからでもその家の詳細が映し出される。不動産会社などはこんな便利なものなないと、すでにビジネスにとりいれているようだが、プライバシーや防犯の観点から極めて問題のある「サービス」である。

■ベランダにある洗濯物まで見えてしまい、もちろんその家に出入りする人も写される。顔にはぼかしをいれるといっているが、老人だけの住人で、かなり立派な家――ということなども、さらけだされてしまう。悪企みをする人にはこんなに便利なツールはないかもしれない。

■便利さが最優先される社会は、アメリカの金融原理主義の崩壊とともに終わりにしてほしいものだ。恐らくこのストリート・ビューは、かなりの割合で好奇心、覗きなどの目的で利用されるし、すでに利用されているのだろう。覗き趣味を満足させるツールなど、いくら便利でも、制限を加えなければいけない。

■もっとも、個人のプライバシーを保護するという名目でできた「個人情報保護法」など、じっさいは違う使い方をされており、不正を隠蔽することにも使われている。政治家などの権力者の「悪」をメディアが追求したり、犯罪捜査をする際、「個人情報」だとして取材拒否をされたりして、障害もでている。名目と実際の使われ方はちがうのである。戦前の「治安維持法」など典型例である。治安維持という名目は結構だが、この法律が拡大解釈され、権力にすこしでも批判的な人や組織を強権で弾圧し、言論の自由を封じ込め、特異な社会をつくってしまった。

■ストリート・ビューに話をもどすと、公道から撮影されるものはプライバシー侵害にならないと法律家はいっているが、それが即時に地球全土に公開されてしまうとなると話はべつである。ストーカーや空き巣などにとっては、願ったりかなったりのツールであろう。ネット社会という新しい領域が生まれた以上、これまで適用されてきた法律も見直す必要がある。

■映像ソフトや書物なども、ネットというものを前提としてこなかったので、著作権法も見直しの時にきている。現行の著作権法はソフトの二次利用、三次利用の面でむしろ障害になっている側面もあり、現在、総務省で改正作業が進んでいるときく。旧来の著作権法を守ろうとする文化庁と改正しようとする総務省との間で、かなりの対立があるようだ。著作権をもつ者の意見もまちまちで、あくまで旧来の著作権に固執する人もいる。
 今後、作品がウエブ上で公開されることが多くなるが、旧来の著作権法はそれに大きくブレーキをかけている。ぼくはこの点では総務省の肩をもちたい。もちろん、中身を精査しなければいけないが。
by katorishu | 2008-10-28 22:50 | 社会問題