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2005年 09月 08日 ( 1 )

李香蘭。読書は快楽

 9月7日(水)
 午後起床するので、食事をして雑用をこなし、数時間原稿と格闘すると、もう一日が終わってしまう。
 仮眠をしたあと寝床で『李香蘭 私の半生』(山口淑子・藤原作弥著)を3分の1ほど読む。この著書が出た1987年当時、一度読んだのだが、忘れていることが多い。
 仕事の必要上、再読しはじめたのだが、過日読んだ『ワイルド・スワン』に劣らず、ドラマティックで面白く、国家と個人との関係を深く考えさせてくれる。

 日本人でありながら、満州映画会社の映画スターとして一世を風靡した李香蘭。実名「山口淑子」。女優誕生に到るまでの足取りを、克明に追っている。まだ5章までだが、今後の展開はもっとドラマティックになるはず。
 中国を舞台にすると、自然にスケールが大きく、悲しみも辛さも深く、山あり谷ありの劇的な展開になる。
 
 戦争は「ごく普通の人間」をドラマの主人公にしてしまうとよくいわれるが、山口淑子氏は「普通の人」ではなく「映画スター」であっただけに、山も高く谷も深い。
 「ワイルド・スワン」ほどの悲劇性はないものの、生まれ育った中国と祖国の日本との間で、激しく揺れ動く人生は劇的であり、この作をミュージカル化した劇団四季の「李香蘭」がロングランをつづけているのも、うなづける。
 このミュージカルを見たくなった。10月に再演するとどこかで読んだので、見にいってみようと思う。

 「男装の麗人」といわれた川島芳子(清朝末期の王女で特務機関員などに利用されたりもした派手で奇異な性格の女性。東洋のマタハリなどといわれた)と李香蘭のの出会いなども面白い。

 目が疲れたので、本を閉じたが、おかげで目が冴えてしまって、すぐには眠れそうもない。
 ただいま、午前4時半。以前はこのまま起きていて始発の電車に乗って、社内で読書をしたり創を練ったりもしたものだが、今、その元気はない。 お茶でも飲んで、李香蘭の続きを読もうか。

 有為転変の人生を綴ったノンフィクションが面白すぎる。想像力を縦横に駆使できる読書が与えてくれる豊かさ、豊饒さを、あらためて思う。
 最近は読書人口が減っているというが、人と生まれてきて「楽しみ」のひとつを放棄したようなもの。もっとも、書店で売られている種種雑多な本の中で、「面白い」と感じられるものは、1パーセントもないのではないか。
 1日に200冊から300冊も出ているというのだから、すべてが面白いはずがない。
 比較的読書家のぼくでも、実際に読んで本当に面白く感動に値する本は10冊に1冊ぐらいか。芝居や映画でも、同じである。
 すべてが面白く感動するものばかりであったら、それにつきあうだけで自分の時間がすべて消費されてしまい、何もできない。もっとも、面白くなくとも役立つ本はあるのだが。役立つことと感動とは違う。今の世の中「役立つ」情報、ハウツーものばかりが流行っているが、本当の感動を忘れている人が多いようだ。

「こうすると感動できますよ」とノーハウを雑誌やテレビなどで教えてもらわないと、感動できないのだろうか。
 なにも海外旅行などにいかなくとも、 読書でも良い作品と出会い、そこに没頭すれば、実人生の感動に劣らないものを居ながらにして、しかも安価に得られるのに。
 読書の面白さ喜びを知らない人間は可哀想である、と本を読まない人にいいたくなる。
by katorishu | 2005-09-08 05:13