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2006年 06月 12日 ( 1 )

 6月11日(日)
■テレビはワールド・サッカー一色だ。単独のスポーツとしてはすでに世界最大のスポーツ・イベントなのだから当然だろう。ところで、世界規模のスポーツという点から考えると、アメリカで大人気の野球が、それほど世界にひろがらないのは、興味深い現象である。アメリカに続く「世界第二の経済大国」日本でも野球はひところスポーツの「王様」であった。
 世界の一位、二位をしめる「経済大国」で流行るスポーツは、世界の多くの国にひろがっていってもおかしくはないのに、どうも、野球は世界規模のスポーツになっていかない。

■不思議なことである。サッカーと比べ野球はいろいろと用具がいるので、貧乏な国では普及しないという説がある。しかし敗戦後の日本は貧乏そのものだった。なのに野球が急速にひろまった。アメリカの占領政策が背後にあったにせよ、あのころの日本人ぐらい野球に熱中した国民はいないだろう。昭和20年代、子供ばかりでなく、大人たちも地域に野球クラブをつくり野球に熱中した。プロ野球、都市対抗野球、高校野球……など、いわずもがなのことである。

■昭和20年代から30年代、子供の遊びといえば、なにより野球であった。あの次期、子供時代を過ごした日本人の男で、野球の出来ない人を探すのはかなりむずかしい。
 アメリカは自国のものが何でも素晴らしく、世界に広めたいと思っている国である。当然、日本以外の国でも野球をひろめる努力をしたにちがいない。しかし、野球が比較的ひろまったのは、中米諸国と日本の旧植民地であった韓国と台湾くらいである。

■野球のもとになっているのはイギリスのクリケットであるが、イギリスに野球がはやっているという話を聞いたことがない。ヨーロッパ諸国で野球をする人はごく少数派ではないのか。逆にヨーロッパでよく行われているラグビーはアメリカではあまりやっていない。
 お互い「プライド」のようなものがあって、「人まね」をしたくないと思う国民が多いからなのだろうか。現在、世界的にアメリカモデルともいうべき「文化」が世界にひろがっているのに、野球があまりひろがっていかない背景には何があるのだろう。 

■古い伝統をもつ日本と、伝統の浅いアメリカ。この二つの国で野球がこんなにも流行る。もっとも、日本では野球はひと頃に比べればずいぶんと流行らなくなってはいるが。何か特別の理由があるのどうか、時間をかけて調べてみたいテーマである。

■本日もコーヒー店等で、6時間ほど執筆作業。帰宅してまた続け、12日に渡す約束の脚本をなんとか仕上げた。そのため、テレビを見る時間も新聞をじっくり読む時間もなかった。
 旧知の人から、原稿料についての質問の電話があった。一般論として、雑誌や本の原稿料や印税の仕組みなどについて、話した。一握りの「売れっ子」をのぞき、「労力に見合った対価を得られない」職業であることが、よくわかったようだった。

■周囲を見回しても、公務員や大企業のサラリーマンの「平均年収」と同じ程度の原稿料を稼いでいる文筆業者は極めて少ない。具体的に聞いたわけではないが、つきあっていれば、仕事量などからも、なんとなく収入の程度はわかる。
 資料の読み込みや取材などもふくめた作業を、「時間給」にすると、「パートのアルバイト」のもらう料金と大同小異という人が圧倒的に多い。
 以前、立花隆氏がどこかで話していたが、「こんなに見返りが少ないと、有為の人がこの世界にはいってこなくなり、作家(ノンフィクション)が育っていかない」。

■本も「安直に執筆された」「中身の薄いダイジェスト」に近いものが比較的よく売れる。
 じっくり調べ、中身の濃い本が売れないのは、日本文化の危機につながる。「あーうー」などという発言で知られた大平元首相は大変な読書家で文才もあったとのこと。外相としての日中国交回復にも尽力した。一方、現外相はとにかく漫画ばかりを読む人のようだ。
 別に漫画を読むことが悪いことではないが、それだけというのは大いに気になることである。

■日本の政治家の多くが、自分の言葉でしゃべったり書いたりすることがうまくなく、海外のリーダーとまともな議論ができないとはよくいわれることだ。理由として「読書量の少なさ」をあげられるだろう。
 本をよく読んでいる人は、顔を見ればわかる。読書し、思考する訓練を日常的にしている人は、おのずと言動に出るものである。「三日書を読まなければ顔にでる」といった意味のことを博覧強記の異能の文人、石川淳がしばしば随筆で書いていた。
 人は「見た目が9割」という本が売れているそうだが、ぼくはかなりの程度、同意する。 
by katorishu | 2006-06-12 03:15